Music For Myself - 1st

March 15, 2022

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音楽について書こうとすると手が止まってしまう。
それは思い入れが強すぎるがゆえに上手く纏め切れないことがわかっているから。
ただせっかくこういったパーソナルな場所を作ったので、この機会に長々と書き連ねてみようと思う。

まず僕はミュージシャンだったことは一度もない。
そしておそらくこれからも自ら演奏する側に回ることはないだろうが、それでも今自分を形成しているものの大半は音楽が核にあると言い切れる。

物心がつく前に、祖父の家にあった大きなステレオの前でチェッカーズを大音量で流して踊っていたというのがどうやら僕の音楽遍歴の始まりに当たる。

その後は特撮やアニメの主題歌に夢中になり、小学校中学年に入る頃には年上の従兄弟に作ってもらったカセットテープに入っていた当時ヒットチャートの常連だったB’zやZARD、槇原敬之やCHAGE&ASKAの音楽を背伸びして聴いていた。

高学年に入る頃には親からお小遣いがもらえるようになり、自分のお金で初めてCDを買うことになる。当時サッカー少年であったことも手伝って、初めての8cmシングルは「WE ARE THE CHAMPION」だった。
アルバムのほうはWANDSの「時の扉」で、たしか2枚目は米米クラブの「Phi」だったと思う。

周りにいる音楽が好きな友人たちに初めて購入したCDの話を聞くと、父や兄、姉などの影響でビリージョエルやローリングストーンズ、小沢健二やユニコーンであったりすることを考えるとなんとも恥ずかしい気持ちになるが、当時僕の身内には誰一人として音楽に精通している者はおらず、最初のうちは1番身近にいる母の影響を受けて安全地帯や小田和正などを愛聴する、かなり渋い子供だった。

新しい音楽の世界を知りたい、聴きたい気持ちはとても強くて、しかしその頃はもちろんインターネットも無く、CDを購入するしかなかったわけだが、シングルでも1枚およそ1000円するCDは小学生にはとても高価なものだった。

そこで目をつけたのはレンタル店の1枚50円から叩き売られていたレンタル落ちCDで、情報も知識も持ち合わせていなかった僕は、とにかく文字通り手当たり次第ありったけ購入した。
判断基準は「なんとなくジャケットがかっこいい写真」のみだった。

その瓦礫の山の中に、稀にブルーハーツやオリジナルラブのような宝石が転がっていて、それらを見逃さずに掬い上げて血肉化していったことが今に繋がっていると思う。

中学生になった頃初めて洋楽に興味を持ち始めて、当時なにかのTVコマーシャルで使われていたクイーンの「WE WILL ROCK YOU」欲しさに地元のCD屋に駆け込み、店員さんに棚の奥のほうから「グレイテスト・ヒッツ」を出してもらったことは忘れられない。
ジャケットに写るフレディマーキュリーの異様な出立ち、恐る恐るCDを再生すると1曲目からおどろおどろしくも壮大な「ボヘミアンズラプソティー」という、初めての洋楽にしては強烈すぎる洗礼を受けることになったからだ。

その後は正体不明の少し危険な匂いのする洋楽に引っぱられて、ほとんど予備知識なくガンズアンドローゼズの1stやボブマーリーのベストアルバムなどを購入した記憶がある。
同時に日本の水面下で盛り上がり始めていたジャパニーズメロコアシーンと90年代ロックシーンを並行して聴くようになっていく。

高校時代は本来の非社交的な性格を発揮して、孤独な時間が多かったと思う。
それに比例してこれまで以上に1人音楽に耽る時間が増えていった。
もしかするとこの時期に初めて、本当の意味で自分の中に音楽を必要とし始めたのかもしれない。

孤独でいることでのみ得られる感受性を養う基盤が整っていった。
それはもちろん甘く華やかで愚かな青春を横目に通り過ぎるという、多大なる犠牲を払ってのことだが。

学園祭では派手なグループがこぞって山嵐やブラフマンを演奏し、もう少し硬派なグループはミッシェルガンエレファント一択だったあの時代。
その両方を聴いていたがどのグループにも属していなかった僕は、少し冷めてしまって違う方向へと流れ始める。当時世界を拓いてくれたのはPARCOの地下にあったタワーレコードの試聴機とラジオ番組のミュージックスクエアだった。
フィッシュマンズ、サニーデイサービス、TOKYO NO.1 SOULSET、GREAT3、シアターブルック、スーパーカー、ナンバーガール、イースタンユース、中村一義、BONNIE PINK、SION、など。

日本ロックシーンがあまりにも熱く、ある意味青く、過去の音楽、同時代の洋楽に流れる隙がないくらい勢いのある時期だったと思う。

そして勉学は疎かになり、それまで続けていたサッカーへの情熱も薄れ、恋愛することもなくただただ無益に日々音楽ばかりを聴きながら高校を卒業することになる。

(2ndに続く)

  
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