Rest In Peace

September 18, 2022

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ウィリアム・クラインに続いてゴダールもこの世を去ってしまった。

ゴダールの映画を熱心に追いかけてきたわけじゃない僕のような人間でも、彼が映像の世界、いやジャンル問わず全ての文化に対して与えた影響が途方もなく大きいことくらいは考えずともわかる。

今月東京の菊川に単館系映画館”Stranger”が誕生し、奇遇にもオープニング上映作品がゴダール特集だったこともあって早速足を運んで90年代の作品「フォーエヴァー・モーツァルト」を鑑賞してきた。

美しいバックグラウンドミュージック。それがフェードアウトするのでなく、文脈や感傷を裏切るように突如ブツ切りされる衝撃。カメラの外側から不意に差し込まれる巨大な飛行機のエンジン音や銃声、爆撃音などでかき消される役者の台詞。ようやく話の筋を掴めそうになる瞬間、見計らったように別の場所へと何度も飛ばされて、結局最後まで予測することが許されない。

理解できるものが表現として優れているわけではない。
こんな当たり前のことをゴダールは改めて教えてくれた。

ところで僕らはあまりにも普段から予定調和に飼い慣らされている。
まるで自分に理解できないもの、領域外の得体の知れないものは説明が足りない欠陥品だと、そう決めてかかる。なぜか受け取る側が上に立ち、批評家のような口ぶりで見当違いの判定を下す。

それを窮屈な世界になってしまったなぁと感じるのはただ年のせいなんだろうか。

人が自ら命を絶ったことに対して、他人の憶測は何の役にも立たない。
ましてやゴダールのような人の心中など量れるわけがない。

ただゴダールの作品はこれからも確実に、その映画に触れる全ての人たちの心を永遠に掻き乱していく。
その事実さえあれば充分だ。

R.I.P

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