Musicians with a good performance

January 19, 2024

何人かミュージシャンの中でものすごく魅力的な演技をする人がいる。
それが世間の評価では福山雅治とか星野源ということになっているみたいだが、ぼくの中では野口五郎(ドラマ「ケイゾク」のサイコキラー役)、SION(ドラマ「私立探偵濱マイク」の幼馴染役)、そしてあがた森魚だ。
ヴェンダースの最新作「PERFECT DAYS」にもほろ酔いのおじさん役で登場していて、ほんの少しの出演だったがスナックバーでギターを弾く姿はとても印象に残っている。
「人のセックスを笑うな」では永作博美の年の離れた旦那役で出ていて、とぼけた空気で妻の浮気相手に信玄餅の食べ方をレクチャーするシーンはあまりにも自然体すぎて笑ってしまう。
深夜ドラマ「深夜食堂」では流しの歌手・ゴローさんを演じ、北海道出身のあがたさんが『函館の女』を熱唱する。このドラマシリーズの中でも特に美しい一話だと思う。
林海象「夢みるように眠りたい」では怪しさ全開のチンドン屋として登場する。若かりしあがた森魚は道端で何が可笑しいのか顔をクシャクシャにして笑いながらヴァイオリンを弾く。音と色のない世界の中で。
タイトルの通り、夢なのか現実なのかわからなくなるその浮遊感漂う映像は、悲しみや可笑しみと同時にどうしようもない優しさが滲み出ていて、それはきっと彼の人間性そのものでもあり、最も好きなシーンの1つだ。

そういえばずっと前にフジロックフェスティバルのどこかのステージの客席で偶然見かけてつい声をかけたことがある。とても和やかに握手を応じてくれたその手は繊細でとても冷たかったのを覚えている。

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